ヨハネの黙示録4章

フィンランド語原版執筆者: 
ヤリ・ランキネン(フィンランドルーテル福音協会、牧師)
日本語版翻訳および編集責任者: 
高木賢(フィンランドルーテル福音協会、神学修士)

天国訪問 4章1~11節

 4章は「ヨハネの黙示録」の転回点です。ここまでの話は、地上で活動している教会に関するものでした。今や視線は天国とそこでの出来事に向けられます。ここまでは、復活されたイエス様がヨハネに直接話しかけてくださいました。しかし4章の冒頭では、ヨハネはラッパのような音を耳にします。それはおそらく神様の御子の語りかけを意味しています(1章10~11節を参照してください)。この後ふたたびイエス様の声そのものが響き渡るようになるのは、いくつかの例外を除けば、ようやく最終章においてです。この章から最終章にいたるまでの間、イエス様はヨハネに天使を通して語りかけることになります。1章19節でイエス様はヨハネに、今起きる出来事とこれから起きる出来事とを教えると約束してくださいました。これまでの章では、諸教会の当時の状態がヨハネに示されました。これからの章では、未来での出来事が明らかにされていきます。

ヨハネは恍惚とした状態になります(1章10節を参照してください)。彼は輝きに包まれて天国に連れて行かれ、そこで不思議な出来事を目にします。ヨハネは自分が見ていることをどう言い表すべきか、困惑します。それで彼は象徴を用いて語ることにします。もちろんそれらの象徴は、彼に示された出来事そのものというよりもそれに近いものと言ったほうがよいでしょう。ヨハネにとって自分で見たことを言葉で表現するのが困難だったのなら、ヨハネが実際に何を目にし象徴によって何を意味したのかを解き明かすのは、「ヨハネによる黙示録」を読む私たちにとってはさらに困難な作業になります。このことについて何かしら発言することはできるでしょう。しかしここではむしろ、ヨハネの描写する光輝く天国の様子を感嘆することに留めたいと思います。

 宝石は不思議な色で光り輝きます。これらの宝石を象徴として用いて、ヨハネは御座におられる天地の主を描いています。全能者の周りでは24人の長老が白い衣を身にまとい金の冠を頭にかぶっていました。彼らが誰なのか、私たちは知りません。おそらく彼らは神様の御座で特別な任務を受けている天使たちなのでしょう。旧約の時代のイスラエルの民はヤコブの12人の男子に呼応して12の部族に分かれていました。新約の基をなすのは使徒的な信仰です。この使徒たちもまた12人いました。長老の人数は、旧約と新約という、神様が結ばれた二つの契約を想起させます。

 神様の御座の周りには、体中が目だらけの四つの生き物がいました。「エゼキエル書」1章にはこれと似たような幻についての記述があります。これらの生き物が何であるか確実なことは言えませんが、おそらく天使なのではないでしょうか。生き物たちのもつ夥しい数の目は、何事も神様には隠し立てできないことをあらわしているのでしょう。生き物たちの目があらゆる方向に向けられているのと同じようにして、全知全能なる神様はすべてを見通し知っておられます。

 マルコは獅子、ルカは雄牛、ヨハネは鷲、マタイは人間の顔を持った生き物というように、後世のキリスト信仰者は四人の福音書記者をヨハネの見た幻の中の生き物の象徴によって表現しました。

 8節~11節で、ヨハネは天国での礼拝を描きます。生き物たちは全能の神様に賛美を歌います。「聖なるかな」という言葉が三回繰り返されます。主なる神様は父・御子・御霊という三位一体のお方だからです。天国での礼拝は神様の偉大さを力強く証しています。天国の住民は全能者の御前にひれ伏し、この方こそがあらゆる栄光を有する主なる神様である、と告白します。天国の御民が絶え間ない礼拝を捧げていることからもわかるとおり、神様はまことに大いなるお方なのです。